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H30.12「デジタル教科書の効果的な活用の在り方等に関するガイドライン検討会議(第4回) 議事録」


【白井委員】 個別事例紹介ページに是非入れてほしいなと思っている内容があります。本当はそれぞれの事例が実践されたICT環境についての説明を入れていただきたいところですが、スペースの関係もあると思いますので、7、8ページ目の3通りの学習方法の例が実践された環境について説明を加えていただけると、使用する側にとって参考になると思いました。 【伊藤委員】 6ページに「個別事例紹介ページの構成」と書いてあり、これがインデックス的になると思いますが、この後の11、12ページ目などの指導案において、7、8ページや、9ページの内容のリンクを見える化できると分かりやすいのかと思います。実践事例集の一番のポイントは、ガイドライン本体と結び付いてくるということだと思いますので、マークなどを用いて、内容のリンクが分かるようにできると良いと思いました。以上です。 【中野委員】 まず、表現方法について、「障害を持つ児童生徒」と書いていただいていますが、現在は、「障害のある児童生徒」と書くのが慣例ですので、表現を変えていただきたいと思います。  それから、現状の案では通常学級と特別支援学級が分けられてしまっています。新学習指導要領では、小・中・高等学校など、通常学級で障害のある子供たちを教えることが基本とされております。ですので、通常学級に障害のある子供たちがいることもどこかに反映させていただきたいと思います。例えば、通常学級の事例における子供の声の中に、障害のある子供が学んでいることを前提とするようなデジタル教科書があって、例えば、ルビが付いているので、漢字の読み方が分かって効果的であるということを入れていただくのが大切だと思いました。  最後に、実践事例集の冊子そのものがアクセシブルである必要があると考えます。各学校には障害のある教職員も一定数いますので、是非御配慮をお願いします。以上です。 【三菱総合研究所】 ありがとうございました。用語については修正をさせていただきます。また、インクルーシブ教育の観点やユニバーサルデザインの観点は御指摘のとおりです。こちらも調整いたします。 【堀田座長】 ありがとうございます。渡邉委員。 【渡邉委員】 活動内容の書きぶりについて基本的に「・・・させる」と記載してあるのが気になりました。活動内容なので、学習者が主語で「・・・する」という記載にできないでしょうか。なぜなら、児童生徒は慣れてくると、教師が指示をしなくても自分で書き込みをするようになります。ですので、学習者を主語にして、そうではない場合には、促すような書き方とするように変えていただけるとより児童生徒の使用の実態にそぐうと感じました。 【堀田座長】 ありがとうございます。 【三菱総合研究所】 頂いた御指摘は第2回の会議の際にも先生方から頂戴しました。その後、当社と文部科学省で検討いたしまして、今回は読み手を学校の先生方としているので、学校の先生の視点の記載に統一する方針とさせていただきました。  ただ、渡邉先生の御指摘のとおり、学習者用デジタル教科書を使った授業に熟達された先生方においては、子供たちが能動的に様々な活動をしていました。そうした子供たちの主体的な活動については、子供の声を掲載するページで紹介することで、先生の御指摘の御趣旨を反映できるかと思います。 【堀田座長】 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。  では、今のような御意見も含めまして、三菱総合研究所で検討していただき、文部科学省と調整していく中で、書きぶりや、インデックス、アクセシブルといったことについて、委員の皆様に御相談があるかと思いますので、是非御協力をお願いいたします。よろしいですか。では、先に進ませていただきます。  議事の二つ目にまいります。二つ目は、学習者用デジタル教科書の効果的な活用の在り方に関するガイドライン案につきまして、事務局より御説明をお願いします。

<事務局より資料について説明>

【堀田座長】 ありがとうございました。前回までの議論によって追加していただいたところを中心に、そもそものいきさつも含めて御説明いただきました。時間的な課題等もあり、委員の皆様から寄せられた意見を全て吸収できていないところもありますので、本日はここをこうすべきだという御意見がありましたら、是非このタイミングのおっしゃっていただければと思います。ガイドライン案の議論が本日のメインの議事ですので、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。  伊藤委員、お願いします。 【伊藤委員】 先ほどの御説明の中で、7ページの(ウ)の丸2に、ウェブ検索やカメラの活用についても追記するという話がありましたが、委員の皆様の御意見も聞きながらと思いますが、ここに追記すると、デジタル教科書というよりデジタル教材としての活用の範囲となり、そこまで広げて捉えていくべきか、ということになると思います。(ウ)の丸2に書いてある「ネットワーク環境を利用して児童生徒が行った書き込みの内容」については、デジタル教科書ならではの機能として適切だと思いますが、一方、ウェブ検索なども含む記載にした場合、デジタル教科書ならではというよりは、デジタル教材の扱い、ICTを活用した授業という範囲まで広がってしまうのでは、と感じました。以上です。 【堀田座長】 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。念のため申し上げると、この(ア)、(イ)、(ウ)が先ほどの事例集の書き分けと関係しており、(ア)が学習者用デジタル教科書の単独使用、(イ)が他のデジタル教材との一体的な使用、(ウ)が他のICT機器との一体的な使用となっています。(ウ)については、他のICT機器と一体的に使用することにより、様々なことができるので、どこまで入れるかという問題があるということです。実際はICT機器のいろいろな機能を使って学習することが多いと思いますが、デジタル教科書のガイドラインとして、それをどこまで入れるかという判断に難しさがあると思います。いかがでしょうか。  山縣オブザーバー、お願いします。 【山縣オブザーバー】 山梨大学の山縣です。7ページの(ウ)に関して、例えば丸2で記載されているように、書き込みの内容を共有したり、ICT機器を家庭でも使用したりするようになると、ディスプレイを見る時間そのものが増えてくると思います。そのようなことが(ウ)に関係するならば、実践事例集においても健康面への配慮に関する記述を充実していただいた方が良いと思います。第3回の会議でも話に上がりましたが、夜遅くまで勉強する際にICT機器を使用することが健康面に影響があるということを改めていずれかの方法で周知する必要があると思いました。以上です。 【堀田座長】 この点について事務局はいかがでしょうか。 【事務局】 ありがとうございます。前回も御議論いただいた、家庭でのデジタル機器の使用に関しては、附属資料の21ページを御覧いただければと思います。21ページ目の内容は、第3回の会議の時点ではガイドライン本体に記載していましたが、附属資料の21ページに、「児童生徒の健康に留意してICTを活用するためのガイドブック」の中で特に留意すべき点という形で記載させていただいているところです。  この中で、例えば、「5.専門家からのコメント」として、「画面の明るさから、寝付きが悪くなる可能性があるため、夜更かしを防止する意味でも、睡眠前の強い光を発するICT機器の利用を控える」といったことについては特に留意すべき点として挙げさせていただいています。 【堀田座長】 ここに書いてあるよというインデックスみたいなのはガイドライン本体にはありましたか。 【事務局】 ガイドライン本体の12ページの(3)の丸1に「児童生徒の健康に留意してICTを活用するためのガイドブック」と記載しておりますが、このガイドブックが附属資料に記載があるというインデックスが抜けておりましたので、付けさせていただきたいと思います。 【堀田座長】 加えて、このガイドライン本体と附属資料、関連資料の関係を書いておくと良いですね。 【事務局】 そのように注記させていただきます。 【堀田座長】 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。  白井委員、お願いします。 【白井委員】 表記のことですが、7ページの(ア)に「学習者用デジタル教科書を学習者用コンピュータで使用することにより」と記載があり、このページ以降にも同様の文章が多く出てきます。  一方、11ページの4「(1)学習者用デジタル教科書を使用した指導上の留意点」の丸3においては「学習者用デジタル教科書を紙の教科書に代えて使用する授業においては、児童生徒一人一人が、それぞれ学習者用デジタル教科書を使用すること。」と記載されていますので、あえて「学習者用デジタルコンピュータで使用する」という記載は不要かと思いました。7ページ目の(ア)については、(イ)と(ウ)との対比で現在のような文章となっていると思いますが、その表記が目立つかと思いました。 【堀田座長】 しつこい感じだということですね。 【白井委員】 そういうことです。 【事務局】  ありがとうございます。おっしゃっていただいたとおり、7ページの(イ)と(ウ)との対比、かつ(ア)の機能のそれぞれが学習者用コンピュータによる部分も大きいということから、「学習者用デジタル教科書を学習用コンピュータで使用する」と記載しておりましたが、実際に読んでいただく方々にとって回りくどいということであれば、少し省略をするなり、表現を検討できるかと思います。いかがでしょうか。 【堀田座長】 これについては、正確さを重視するかどうかという悩ましいところです。部分的に引用される可能性も考えると、しつこいけれども書いておく必要もあるのでは、と私も読んでみて思いました。今のような御意見は、読みやすさも大事ですので、非常に貴重です。  ほかにいかがでしょうか。渡邉委員、お願いします。 【渡邉委員】 私の知り合いなどから感想を伺うと、11ページの4(1)の丸1の「2分の1未満」という表現に注目されている方が多いです。非常に制限しているようなニュアンスを与えるメッセージとして、捉えられがちのようなので、なぜ2分の1なのかという理由を記載する必要があると思いました。本当は、「2分の1」という表現を変えてほしいと思っていますが、変えられないというのであれば、もう少し説明を加えたり表現を和らげたりする必要があると思いました。委員の皆さまからも意見を伺いたいです。 【堀田座長】 これについては、この後の、パブコメや告示等に関するものですが、事務局、いかがですか。 【事務局】 ありがとうございます。一応、11ページの脚注24の中で趣旨は書いているところです。説明を加えるということであれば、この脚注をそのまま本文に移すことは一つの方法としてあるかと思います。しかし、「2分の1未満」という表現については、前回の会議でお示しした告示案の中で基準として書かれており、また、11ページの「4.学習者用デジタル教科書の使用に当たり留意すべき点について」において、告示のその他の基準についても盛り込んでいることから、「2分の1未満」という表現を削除するのは少し難しいと考えております。 【堀田座長】 渡邉委員、「2分の1未満」に係る説明を充実させるということで良いでしょうか。 【渡邉委員】 はい。 【堀田座長】 この、11ページの脚注24の「学習者用デジタル教科書の導入は段階的に進めるため」というのも、このガイドライン検討会議で決めたわけではなくて、本会議の前の「『デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議」で決まったことであり、それを踏まえて中央教育審議会等での議論を経て、学校教育法等が改正された、というプロセスがあります。「2分の1未満」というのもこの会議で決めたわけではなく、告示において規定されており、ガイドラインはそれらに従って作成されるものの、書き方を工夫すれば良いと思います。「2分の1未満」というのは、良いのかどうかは別として、皆様からの関心が非常に高いところでした。  ほかにいかがでしょうか。中川オブザーバー。 【中川(哲)オブザーバー】 先ほどの附属資料との関連性と類似する意見ですが、実践事例集の中に、ビジュアルも含めてかなり分かりやすく書かれております。ただ、文部科学省の別の部署において作成したガイドラインや指導集を出した際には、教育委員会の方や学校の先生は、ガイドライン本体のようなものだけ読まれて、関連する実践事例集のようなものを御存じないことも多いようです。とすると、ガイドライン本体は絶対読まれると思いますので、ガイドライン本体の中に実践事例集の存在を明確に記載したり、実践事例集の画面ショットを入れて、URLを記載したりすると良いと思います。  今回は難しいかもしれませんが、今後、発展的なものがどんどん出てくると思いますので、例えば、ウェブサイトなどで事例を更新するといったことも御検討いただけると良いと思いました。  二つ目が、ガイドライン本体の12ページの(2)に、ICT支援員の役割など、サポート体制等について記載があります。特に丸2の記載内容について、この部分だけを読んでいると、ICT支援員はかなりコンピュータ寄りのサポートをするという印象を受けますが、実際活躍されていらっしゃるICT支援員は、全国のデジタル教材の使われ方に関することなど、教材作りの面からもサポートをしてくださるという要素もあります。ですので、教材の開発についても支援ができる、といった表現を追記できると良いと思いました。  それから、12ページ(2)の丸1において、「教師のICT活用指導力の向上を図ること」と記載があります。教師は指導する際に、児童生徒は学習者用デジタル教科書を使用し、教師は指導者用デジタル教科書を使用すると思いますが、慣れていない教師についても、学習者用デジタル教科書と指導者用デジタル教科書の両方を活用しなければならないのか、少し疑問に思いました。この点は今回の議論の趣旨から外れるかもしれませんが。  以上です。 【堀田座長】 最後の話は、指導者用デジタル教科書が、現在、デジタル教材として販売されていますが、それを学校現場が必ずしも購入しているとは限らないという現実の中で、それを前提に書いても良いかという課題があると思います。  ICT支援員のことはおっしゃるとおりで、教材作成や教材の活用の相談についても追記できれば良いと思いますが、事務局、いかがでしょうか。 【事務局】 御意見ありがとうございます。まず一つ目の実践事例集をしっかりアピールすることについては、まだ十分ではないかもしれませんが、ガイドライン本体の2ページの「2.ガイドラインの趣旨等」において触れているところです。しかし、これだけだと見過ごされてしまう可能性がありますので、例えば、附属資料に実践事例集に関する資料を入れるといった形で工夫をさせていただければと思います。また、ホームページに、学習者用デジタル教科書に関してページを整備したいと思います。  ICT支援員に関しては、御指摘いただいたように記載を検討させていただきたいと思います。また、12ページ(2)の丸1において「ICT機器の操作に不慣れである」という前置きもありますが、確かに、指導者用デジタル教科書のみならず、学習者用デジタル教科書を使うに当たって、ICT関係全般について必要になるかもしれませんので、文言を検討させていただければと思います。 【堀田座長】 ありがとうございました。ICT支援員については、操作にとどまらず、デジタル教科書を活用した良い授業をするための支援もしていただいているという現実があるので、うまく盛り込めれば良いと思います。  中野委員。 【中野委員】 今の事務局からの説明に関連して、黒川さんにお聞きすべきことかと思うのですが、指導者用デジタル教科書と学習者用デジタル教科書との関係についてです。先ほどの議論で、指導者用デジタル教科書の中に学習者用のデジタル教科書の内容が全部包括されていれば成立することだと思いますが、現在販売されている指導者用デジタル教科書は学習者用デジタル教科書の内容が全部登載されていないものもあると理解しています。学習者用デジタル教科書と指導者用のデジタル教科書との関係についてお伺いしたいです。 【堀田座長】 説明できますか、黒川委員。 【黒川委員】 ありがとうございました。学習者用デジタル教科書が販売されるのはこれからのことですので、指導者用デジタル教科書と学習者用デジタル教科書との関係は、各教科書発行者によって異なると考えられます。また、教科によっても扱い方が違いますが、私の個人的な感想で言えば、実質的には、指導者用デジタル教科書と学習者用デジタル教科書は、教科書の内容以外の教材部分も含め、かなり近いものになると思っております。ただ、それらを扱うビューアや操作の機能等について多少異なるケースもあり得ると思います。  現在の指導者用デジタル教科書は、一部の内容が省略されているものもあり、必ずしも紙の教科書の内容とは同一ではありませんので、制度上の学習者用デジタル教科書の概念には当てはまらないと思います。ですので、学習者用デジタル教科書と指導者用デジタル教科書は別のものとして位置付けられるものと考えております。 【中野委員】 分かりました。そうなると、教員も子供たちが使用する学習者用デジタル教科書を入手できると考えてよろしいでしょうか。ガイドライン本体に書き込む内容ではないかもしれないのですが。 【黒川委員】 これも教科書発行者次第ですが、基本的には紙の教科書と同様に、先生方にも購入していただくことが考えられます。 【中野委員】 分かりました。そこが整理できていれば大丈夫です。 【堀田座長】 今の話は非常にデリケートな話で、本ガイドラインの話ではなく、もう少し先の別の議論と関係しているので、難しいところがあると思います。そもそも、学校の先生が見ている教師用指導書は、購入義務はないものですので、予算の関係で購入されていないところも多くあります。ですので、指導者用デジタル教科書も使用できる状態であることを前提に考えるのは、今の段階では難しいと思います。  ただ、できれば、指導者用デジタル教科書と学習者用デジタル教科書との両方ともある方が指導はしやすいし、子供も理解がしやすい環境になると思います。それでもなお、学習者用デジタル教科書の操作も含めて教師は理解する必要があるというのがこのガイドラインの立ち位置かと思います。学習者用デジタル教科書の発行や販売については、各教科書発行者で検討されているものと思います。  では、中野委員、お願いします。 【中野委員】 それから、ネットワークに関することについて先ほどお話がありました。  これは7ページの(ウ)の丸2に書くかどうかは別として、先日行ったある学校では、ネットワークは整備されているものの、接続はしてはならないという非常に奇妙なことが行われていました。その理由は、情報が漏えいする可能性があるので、先生方のコンピュータはそのネットワークに接続して良いが、子供たちが使用するデジタル機器は一切接続が認められていないため、共有ができず、共有する際には実物投影機に映していました。以上のとおり、ICT環境は整っているものの、使用できないという状況にショックを受けたので、どこかで記載できると良いと思いました。  最後に、特別支援に関して様々御配慮くださり、3ページの(2)の丸3では音声教材やPDF版拡大図書について記載くださりありがとうございます。現在の記載では、「年々その需要が高まっている」となっており、これは事実ですが、できれば、一歩進めて、学習者用デジタル教科書と相補的に活用されることが期待される、といった記載ができると良いと思います。相補的というのは、アクセシビリティーの面では音声教材やPDF版拡大図書の方が優れている一方で、紙の教科書の内容が全ては入っていないので、デジタル教科書も必要で、お互いを相補いながら使うのが現状だと思うからです。もし可能であれば、記載について御検討いただきたいと思います。  以上です。 【堀田座長】 事務局、いかがですか。 【事務局】 ありがとうございます。一つ目のネットワークに関しては、14ページの(6)の丸5に関係すると思います。そこでは、「教師や児童生徒が安心して学校においてICTを活用できるようにするため、外部の者等による不正アクセスの防止等の情報セキュリティ対策を講じること」と記載しており、先ほどのお話は情報セキュリティ対策の一環の極端な例であると思います。  情報セキュリティについては、文部科学省としても教育情報セキュリティに関するガイドラインを作成しております。これについてはお配りさせていただいております、関連資料13ページ目にて「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を紹介させていただいております。こういったものを御活用いただきながら、各学校において情報セキュリティ対策を検討いただくことが必要だと考えます。  もう一つ、音声教材やPDF版拡大図書の相補的な活用について、事務局の整理としては、3ページの「(2)学習者用デジタル教科書の定義」において、いろいろなデジタル教材がある中で、学習者用デジタル教科書の位置付けについて御説明させていただいたつもりです。  そして、中野先生から御指摘いただいた部分は、13ページの「(4)特別な配慮を必要とする児童生徒等が使用する際の留意点」の丸2に「学習者用デジタル教科書のみによって、様々な特別な配慮を必要とする児童生徒等の全ての学習ニーズを満たすことは難しい場合も想定されるため、引き続き、音声教材やPDF版拡大図書等の教科用特定図書等の活用も検討すること」として、相補的な活用に当たって留意すべきことについて記載させていただいておりますが、いかがでしょうか。 【中野委員】 相補的と私が申し上げたのは、中には極端なところもあり、音声教材があるから紙の教科書や学習者用デジタル教科書は要らないといった判断がされてしまうことを懸念して、相補うものだといった記載が良いかと考えたためでした。  ただ、現在の表現でもそのように捉えることはできるので、説明の機会があればそのように説明するというやり方でも良いと思いました。ありがとうございました。 【堀田座長】 ありがとうございます。今の話は書きぶりを工夫したいと思います。  ネットワークの話に関して、先日、柴山文部科学大臣が遠隔教育の重点化やICT環境整備などについて柴山プランを公表されました。一方、そもそも学校現場に遠隔教育できるほどのICT環境が整備されているのか、各地方自治体の制度的な締め付けなどが強過ぎて結局実施できないのではないか、といった議論があります。また、現在、オンラインで使用するデジタル教材が多く出ている時代にネットワークが脆弱過ぎるのではないか、といった意見が、中央教育審議会や省庁横断的な会議などいろいろな場で話題として出ています。このガイドラインにどこまで書けるかは別問題ですが、中野先生が見た、不可思議な現象はいろいろなところでも聞こえてきますので、恐らくここ一、二年で議論になるところだと思います。ありがとうございます。  山縣オブザーバー、お願いします。 【山縣オブザーバー】 13ページ(3)丸2の2ぽつの表現について、脚注29との整合性を鑑みると、現在は、目だけに特化されている印象を受けますので、「目や身体への影響が生じないよう」という記載を「心身への影響が生じないよう」とし、3行目を「眼精疲労の有無やその程度、その他心身の健康状態について、児童生徒に・・・」とした方が脚注の書きぶりと整合性が取れると思います。表現を御検討いただければと思います。 【堀田座長】 ありがとうございました。事務局、良いでしょうか。 【事務局】 はい。 【堀田座長】 はい。分かりました。  柴田委員。 【柴田委員】 先ほどのガイドライン本体と実践事例集及び附属資料との関連付けを強調するということに関して、私もそのようにお願いしたいと思います。ICT機器の人間工学的な利用や健康面などについて学校の先生方と話をする機会があったときにお聞きしたところ、学校の先生方は、既に発行されている健康面に関するガイドブックなどを御覧になる機会を余り持てていないという現状があるようです。是非ともガイドライン本体と実践事例集などとの結び付きを強調して明記いただければと思います。よろしくお願いします。 【堀田座長】 ありがとうございます。駒崎委員、お願いします。 【駒崎委員】 実践事例集について、先ほど中川オブザーバーも言っていましたが、現場の教員は写真や絵が多い事例を見ると思います。ガイドライン本体の8ページから記載されている「(3)学習者用デジタル教科書の活用方法の例」の内容が恐らく現場の先生方にとって一番目に留まると思うので、この部分を実践事例集の9ページなどに入れていただくと良いかと思います。  以上です。 【堀田座長】 実践事例集への反映を検討してくださいとのことです。  黒川委員、お願いします。 【黒川委員】  ガイドライン本体と実践事例集とのリンクは難しいかもしれませんが、駒崎委員もおっしゃったように、対応関係を明確にしていただけたら良いと思いました。  もう一つ、実践事例集において取り上げられているものが、現在、教材として使われているいわゆるデジタル教科書、指導者用デジタル教科書が混在しておりまして、読んでいくと、学習者用デジタル教科書、指導者用デジタル教科書、デジタル教材との関係が不明確になっています。ガイドライン本体に基づいて、文言等を再度しつこくならない程度に整理していただけたらと感じました。  以上です。 【堀田座長】 これは三菱総合研究所へのお願いということになりますね。 【黒川委員】 そうですね。 【堀田座長】 よろしくお願いいたします。  加藤委員。 【加藤委員】 現在販売されているデジタル教材については、各社のライセンスの取り方やソフトウェアによって使用できる機能が異なります。それが、実践事例集の8ページの最下に記載されておりますが、これを、6ページの留意事項に移した方が良いと思いました。  また、ガイドライン本体にも、ICT環境や教科書発行者によって使用できる機能が異なる旨を記載した方が良いと思いました。  また、ガイドライン本体の4ページの<紙の教科書や学習者用デジタル教科書等の概念図>は、ソフトウェアが含まれていない図になっていると思います。ガイドラインのターゲットにとっては余り関係がないことなので書き直す必要はないとは思いますが、少し気になりました。 【堀田座長】 概念図がコンテンツとして書いてあるものの、コンテンツを動かしているソフトウェア機能については十分に反映されていないということですか。 【加藤委員】 先ほど議論に上がった、学習者用コンピュータで使うという文言にも関わると思いますが、ただ、このガイドラインではそこまで踏み込まなくて良いとも思います。 【堀田座長】 この図は、必ずしもそう分かりやすくもないという意見も含めて、これまで何度も議論が出ているところです。ただ、どこから紙で、どこからデジタルかといったことについて図に落とし込むのも非常に難しく、今のところはこうなっているということです。  他にいかがでしょうか。伊藤委員。 【伊藤委員】 先ほど、ガイドライン本体の12ページ(2)のICT支援員に関する話がありましたが、教材を開発する主体は基本的には教員であると考えます。私は区の教育委員会にいるので、ICT支援員を雇う立場になると、人材的には難しい面もあると感じています。ですので、ICT支援員は、教員を支えるという視点で、相談に乗る相手といった形で記載するのが良いと思います。  また、12ページ(2)の丸1、丸2の書きぶりが、「不慣れ」とか、「トラブル」といったネガティブな記載がされており、教員の立場から見ると、こういった穴を埋めるのがICT支援員だという捉え方をしてしまうと思います。確かに技術的な対応は得意ではないけれども、ICT機器を使用して子供たちにうまく表現させることについては非常に上手な先生方はいて、そういった先生方を支えるのがICT支援員だと思っています。  ですので、この箇所についての書き方の方向性を改めていただけると、教員の立場で言うと有り難く、教員がもっとやろうという気持ちになるかと思いますので、よろしくお願いします。  以上です。 【堀田座長】 ありがとうございます。もっともでございます。  ほかに、いかがですか。  白井委員。 【白井委員】 このガイドラインの公表方法を教えていただきたいです。  また、附属資料、関連資料もガイドライン本体とセットなのか、別なのか、ということも含めて教えていただければと思います。 【事務局】 ありがとうございます。まず、ガイドラインの公表に関しては、ガイドライン本体と附属資料、関連資料、このほかに参考資料も含めて、まずはホームページにて公開させていただきたく思います。実践事例集についても、まずはホームページに公開する形を考えております。また、ガイドラインを策定したことについては、各教育委員会等にお知らせをさせていただくことを検討しております。 【白井委員】 一つお願いなのですが、現在の関連資料の中には実践事例集が入っておりませんが、この中にも含めていただければ一緒に見ることができて良いかと思います。  以上です。 【堀田座長】 良いですか。 【事務局】 はい。そのような方向で検討させていただきます。 【堀田座長】  ほかに、いかがでしょうか。  では、座長代理、お願いします。 【中川(一)座長代理】 どうもありがとうございました。  本日の議論を聞いていますと、ガイドライン本体と実践事例集がリンクされ、この両方を行ったり来たりすることで、現場の理解が深まるということも改めて感じました。  それから、デジタル教科書に関する法令が間もなく施行されるので、このタイミングで、ガイドラインと実践事例集が策定されるのは、特に学習者用デジタル教科書を多くの学校や自治体に意識してもらう、あるいは、検討してもらうという大きな意味を持っていると思っています。  一方で、学習者用コンピュータの整備が十分ではない地域もあり、活用例も余り多くない中で、事務局や三菱総合研究所総研の方々は大変御苦労されたと思いますが、現時点での事例について、こういう形で策定されるのも大きなことだと思っています。  これから、学習者用デジタル教科書の普及に向けては、制度の問題、ICT環境整備の問題、教師のスキル向上の問題、活用の問題といった四点がうまく回っていくことが必要だと思います。例えば教師のスキル向上については、情報活用能力の育成とのリンクをどのように考えていくのか。それから、活用については、今後、例えば効果検証や好事例の蓄積・共有といったことを手厚く行うことが、次のフェーズへの役割だと改めて感じました。  いろいろと、ありがとうございました。 【堀田座長】 いろいろと御意見いただいたところですが、これまで頂いた御意見も含めて、できるだけ事務局には細かく反映をしていただいています。本日頂いた御意見も、事務局で恐らく数日のうちに反映いただくと思いますし、その際に、委員の皆様に書きぶりの照会やチェックをお願いする可能性があります。学期末に大変恐縮ですが、本日は最終回ですので、本日の御意見等の反映や欠席の方の御意見も頂くことも含めて、ガイドラインを最終的にどのように修正するかについては、座長一任とさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【堀田座長】 ありがとうございます。加えて、ガイドライン附属資料、関連資料、参考資料については一緒に議論していきますが、実践事例集については少し後の納期になっていますので、ガイドラインを踏まえた書きぶりにしていただくということで、三菱総合研究所にはお願いしたいと思いますが、これもまた委員の皆様に何らかの御相談をさせていただくかもしれませんので、よろしくお願いいたします。  それでは、続きまして、議題の「(3)その他」として、省令等のパブリックコメントの結果について、事務局より御説明をお願いします。 【事務局】 資料は配付しておりませんが、事務局から簡単にパブリックコメントの結果について御説明させていただきたいと思います。  パブリックコメントについては、平成30年11月12日から12月13日までの1か月間、意見募集を行い、その結果、76件の御意見を頂きました。頂いた御意見の中で多いものとしましては、デジタル教科書の使用について2分の1未満とすることに関するもので、使用を限定しないことを求めるという御意見がありました。一方、制度上は、デジタル教科書の使用を義務付けるものではないものの、デジタル教科書の使用を一律に押し付けないことといった御意見も頂きました。また、デジタル教科書の使用については、エビデンスに基づいて議論を進めていくべきだといった御意見も多く頂いたところでございました。 今回の制度改正においては、先ほども少し御説明したとおりですが、デジタル教科書の使用についてプラスとマイナスの両面の効果・影響があり得るという、制度設計に関するこれまでの御議論を踏まえ、段階的にその導入を行うこととしています。まずは、各教科において紙の教科書を主として使用しながら、デジタル教科書の使用によって、教科書の役割である基礎的・基本的な教育内容の履修を保障できることを、国としては検証していくことが必要であろうと考えています。  こういったことも含めて、来年度以降、デジタル教科書の使用による効果・影響等について把握・検証し、デジタル教科書の在り方について、そういった調査研究の結果も含めながら引き続き検討していきたいと考えています。  また、このパブリックコメントに対する結果等については、後日取りまとめたものを公表する予定です。  以上でございます。 【堀田座長】 ありがとうございました。念のためですが、今回のパブリックコメントはガイドラインについてのものではなく、第3回の会議でお示しした、学校教育法施行規則の一部を改正する省令案や告示案などについてのものです。御意見としては、「2分の1」はどこから出てきたのかという趣旨のものが多かったということですね。これは、きちんと説明する必要があると思いますが、今後追って情報が届けば、紙の教科書との関係など、御理解いただけるかと思います。  委員の皆様の周辺からも同様の意見が聞こえてきたと思います。現在のICT環境整備状況の中で、多忙なのに対応できないといった意見と、なぜ半分しか使用できないのかといった意見の両極に分かれているという現実があります。これは、数年かけて実践事例が蓄積されてから、様々なことが見直され、再検討されると考えております。  これについて、何か御質問等ありますでしょうか。  よろしいでしょうか。事務局もよろしいですか。 【事務局】デジタル教科書につきましては、ICTを活用した教育が推進される中で、平成23年から始まりました学びのイノベーション事業などにおいて研究が進められてきたところです。その後、教育再生実行会議における提言なども踏まえ、「『デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議」において平成28年12月に報告がまとめられ、平成30年の通常国会で関係法律が成立し、平成31年4月から施行されるということで、大きな節目を迎えているところです。  今後は、国会における御議論でもありましたが、本格的な効果の検証というのも大きな課題です。また、デジタル教科書の活用の推進というのも大きな課題ですが、今回まとめていただきましたガイドラインにおいて、デジタル教科書を活用するメリットについて非常に分かりやすくまとめていただいていると思っており、今後、作成される実践事例集とともに、現場の先生、教育委員会の指導主事の方々にまず手に取っていただき、デジタル教科書を使用してみようという気になっていただくことが重要と考えています。  また、デジタル教科書の活用の推進のためにも、まずはデジタル教科書の作成が必要となりますところ、教科書発行者の方々におかれては非常に様々な状況があり、簡単な作業ではないと思いますが、何とぞお取り組みのほど、よろしくお願い申し上げたいと思います。  文部科学省といたしましても、ICT環境の整備というのが非常に大きな課題となっている中で、財政的な問題もありますが、我々としては、まずはガイドラインなどについて教育委員会など関係の方々への広報、周知をしっかりと図っていきたいと思います。引き続き、委員の皆様の御協力を頂きながら、教科書発行者の方々、教育委員会、現場の先生方と連携をしながら取組を進めてまいりたいと考えておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。 【堀田座長】  このガイドライン検討会議の前には、そもそもデジタル教科書をどのように法的に位置付けるかに関する検討会議があり、そこでいろいろなことが検討され、紙の教科書を主たる教材として使用しつつ、紙の教科書と同一の内容のデジタル教科書を併用しても良いという結論となりました。今後のことを考えると、潜在的には非常に大きなことであるものの、かといって我が国の教育制度の根幹の一部をなしている教科書制度においては、様々な制度改正が必要になります。また、財政上の課題もありますので、一度にデジタル教科書の全部使用を可能にしたり、デジタル教科書を無償にしたりするといったことはにわかにできないという状況の中で、以前の検討会議においては、デジタル教科書を併用しても良いと決められたわけです。  その後、文部科学省の皆様には御尽力いただき、実際に制度改正がなされ、デジタル教科書が使用できることになります。今後、多くの学校現場でデジタル教科書が使用されることにより、単元や教科、学年、児童生徒などに関する好事例が積み上げられることによって、時間はかかると思いますが、将来的には選択制の可能性もあるかもしれません。 選択制になるかどうかはともかく、まずは一歩歩み出した、我が国のデジタル教科書の法令等の改正については、現場の先生方が不安に思われることはたくさんあると思うので、ガイドラインや実践事例集を作ることがこの会議のミッションでした。  今後、デジタル教科書が普及し、活用されていくためには、様々な課題があります。先ほど座長代理もおっしゃっていましたが、ICT環境整備の問題は非常に大きい課題ですし、私は、慣れれば教員は使用できると思っていますが、保護者を含め、議員の中にも、目が悪くなることなどに対する懸念は多くあります。ですので、デジタル教科書に限らない議論だと思いますが、理解を得るにはまだ少し時間がかかると思います。  今回も、ガイドラインの策定に当たって、各教科等の専門家の現場の先生方や、教育委員会の経験がある先生方、そして人間工学や特別支援教育などの専門分野の方々、教科書発行者の代表の方々、様々な方々に来ていただきました。

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教育新聞より 文科省は3月29日、昨年11月に発表された「柴山・学びの革新プラン」に基づき、学校現場のICT化を進めるための具体策を示した「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策」の中間まとめを公表した。2023年度までに遠隔教育を実施したいができない学校を0にする政策目...

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