​更新日:2018/8/1

 教育振興基本計画は、教育基本法に示された理念の実現と、我が国の教育振興に関する施策の総合的・計画的な推進を図るため、同法第17条第1項に基づき政府として策定する計画です。

 

〈基本計画の構成〉

 まず前文があって、第1部として「我が国における今後の教育政策の方向性」として、国・教育の現状と課題について言及し、そこから今後の基本的方向性(留意事項あり)を示す。
 次に第2部として「今後5年間の教育政策の目標と施策群」として、5つの項目と21の目標が提示されている。

 うち、教育ICTにかかわる内容は目標17が該当するが、それ以外も関連記載をピックアップする。

前文
 今,我が国は,人生100 年時代を迎えようとしており,また,超スマート社会(Society 5.0)の実現に向けて人工知能(AI)やビッグデータの活用などの技術革新が急速に進んでいる。こうした社会の大転換を乗り越え,全ての人が,豊かな人生を生き抜くために必要な力を身に付け,活躍できるようにする上で,教育の力の果たす役割は大きい。
 激動の時代を豊かに生き,未来を開拓する多様な人材を育成するためには,これまでと同様の教育を続けていくだけでは通用しない大きな過渡期に差し掛かっている。誰もが人間ならではの感性や創造性を発揮し自らの「可能性」を最大化していくこと,そして誰もが身に付けた力を生かしてそれぞれの夢に向かって志を立てて頑張ることができる「チャンス」を最大化していくこと,これらを共に実現するための改革の推進が,今求められている。


第1部 我が国における今後の教育政策の方向性

Ⅰ.教育の普遍的な使命
Ⅱ.教育をめぐる現状と課題

1.これまでの取組の成果
2.社会の現状や2030 年以降の変化等を踏まえ,取り組むべき課題 

○ 現在の社会は知識基盤社会であり,新しい知識・情報・技術が,社会のあらゆる領域での活動の基盤として非常に重要であるが,この知識・情報・技術をめぐる変化は加速度を増している。また,グローバル化の進展等によって,一つの出来事が広範囲かつ複雑に伝搬し,社会の変化を正確に予測することはますます難しくなってきている。
○ このような状況の中にあって,2030 年頃には,IoTやビッグデータ,AI 等をはじめとする技術革新やグローバル化の一層の進展,人口構造の変化や女性・高齢者等の活躍の進展,雇用環境の変化等が予想されている。


(急速な技術革新)

2030年頃には,第4次産業革命とも言われる,IoT やビッグデータ,AI等をはじめとする技術革新が一層進展し,社会や生活を大きく変えていく超スマート社会(Society 5.0)の到来が予想されている。研究・開発・商品化から普及までのスピードも加速化しているとの指摘もあり11,次々に生み出される新しい知識やアイデアが組織や国の競争力を大きく左右していくことが想定されるなかで,我が国は第4次産業革命への対応においてアメリカやドイツなどに遅れを取っているとの指摘もあり,取組の加速が大きな課題となっている。
○ 技術革新の進展により,今後10 年~20 年後には日本の労働人口の相当規模が技術的にはAI やロボット等により代替できるようになる可能性が指摘されている一方で,これまでになかった仕事が新たに生まれることが考えられる。今後,いわゆるメンバーシップ型雇用からジョブ型雇用への移行や労働市場の流動化が一層進展することも予想されている。
子供を取り巻く状況については,スマートフォンをはじめとした様々なインターネット接続機器などの普及に伴い,情報通信技術(ICT)を利用する時間は増加傾向30にある一方,授業においてコンピューターを使っている生徒の割合はOECD 加盟国で最も低い水準にある。また,情報化が進展し,あらゆる分野の多様な情報に触れることが容易になる一方で,知覚した情報の意味を吟味したり,文章の構造や内容を的確にとらえたりしながら読み解く能力に課題が生じているとの指摘もある。また,子供がSNSを利用した犯罪に巻き込まれたり,意図せず犯罪に加担したりしてしまうなど,子供の安全が脅かされる事態が生じている。

 

(高等教育を取り巻く状況変化と課題)

 超スマート社会(Society 5.0)においては,労働市場の構造や職業そのものが抜本的に変わることが予測されるなか,個人の観点からも,社会全体としての労働生産性の向上や人材需要への対応等の観点からも,社会人が学び直すことの重要性が高まっている。産業界からは,より高度かつ実践的・創造的な職業教育や,成長分野等で必要とされる人材養成の強化も期待されており,高等教育機関全体としてその期待に応えていくための機能強化を図ることが重要となっている。特に,新たな産業の創出など,AI・IoT・ビッグデータ等の産業構造改革を促す情報技術等を基盤とした人材育成が求められる中で,数理・データサイエンス教育の重要性・必要性は分野を超えて高まっている。
○ また,超スマート社会(Society 5.0)においては,知の力を持って挑戦し,人類社会に貢献する高度専門人材である知のプロフェッショナルを育成することの重要性が高まっており,最先端の情報技術を生み出し,それを実践的に活用することができる人材や,現場レベルの改善・革新を牽引し,高付加価値のモノやサービスを生み出すことができる人材等を育成する大学院教育の改革等が求められている。

Ⅲ.2030 年以降の社会を展望した教育政策の重点事項

Ⅳ.今後の教育政策に関する基本的な方針
Ⅴ.今後の教育政策の遂行に当たって特に留意すべき視点

 

第2部 今後5年間の教育政策の目標と施策群

1.夢と志を持ち,可能性に挑戦するために必要となる力を育成する 

2.社会の持続的な発展を牽引するための多様な力を育成する
3.生涯学び,活躍できる環境を整える
4.誰もが社会の担い手となるための学びのセーフティネットを構築する
5.教育政策推進のための基盤を整備する

目標(17)ICT 利活用のための基盤の整備 →ここの内容がパンフレットになっている

 初等中等教育段階について,①情報活用能力(必要な情報を収集・判断・表現・処理・創造し、受け手の状況などを踏まえて発信・伝達できる能力(ICTの基本的な操作スキルを含む)や,情報の科学的理解,情報社会に参画する態度)の育成,②主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善に向けた各教科等の指導における ICT 活用の促進,③校務の ICT 化による教職員の業務負担軽減及び教育の質の向上,④それらを実現するための基盤となる学校の ICT環境整備の促進に取り組む。また,私立学校についても,国公立学校の状況を勘案しつつ,ICT 環境整備を推進する。
 高等教育段階について,教育の質向上の観点から ICT の利活用を積極的に推進する。また,ICT の活用による生涯を通じた学習機会の提供を推進する。

(測定指標)
・教師の ICT 活用指導力の改善 ・学習者用コンピューターを3クラスに1クラス分程度整備
・普通教室における無線 LAN の 100%整備 ・超高速インターネットの 100%整備
・ICT を活用した教育を実施する大学の割合の改善
(参考指標)
・児童生徒の情報活用能力  ・校務の ICT 化による教職員の業務負担軽減の効果

 

○ 情報活用能力の育成
・ 新学習指導要領において,情報活用能力(情報モラルを含む。)が学習の基盤となる資質・能力として位置付けられたことを踏まえ,その育成に係る優れたカリキュラム・マネジメント事例を創出し,普及を図る。また,情報モラルの育成を推進するため,指導資料や啓発資料の作成・配布等を行うとともに,官民が連携してプログラミング教育の推進に向けた指導事例の創出・普及等,教師の指導力向上を図る取組を行う。さらに,放課後にプログラミング等の ICT に関する継続的・発展的な学習機会の提供の促進を図る。

 

○ 各教科等の指導における ICT 活用の促進
 ・ 教師の ICT を活用した指導力の向上を図るための指導資料の作成・配布や指導的立場の教師等への研修を行うとともに,主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善に向けた ICT 活用実践事例の創出及び普及を図る。
・ 多様性ある学習や専門性の高い授業等を実現させる観点から,遠隔教育の推進を図る。
・ 障害者差別解消法に基づく合理的配慮の提供に向け,障害の状態等に応じた情報保障やコミュニケーションの方法,教材(ICT 及び補助用具を含む。)の活用について配慮するよう周知を行う。

 

○ 校務の ICT 化による教職員の業務負担軽減及び教育の質の向上
・ 教職員の業務負担軽減に効果的な統合型校務支援システムの整備を図るため,調達コスト及び運用コスト抑制に向け,都道府県単位での共同調達・運用を促進する。
・ 統合型校務支援システムを発展させ,成績,出欠又は学籍に関する情報等の校務情報を,学習記録データ(学習成果物等の授業・学習の記録)と有効につなげ,学びを可視化することを通じ,教師による学習指導や生徒指導等の質の向上,学級・学校運営の改善等に資するための実証研究を推進し,成果の普及に関係府省が連携して取り組む。

 

○ 学校の ICT 環境整備の促進
・ 「平成 30 年度以降の学校における ICT 環境の整備方針」に基づき,学習者用コンピューターや大型提示装置,超高速インターネット,無線
LAN の整備など,各自治体による計画的な学校の ICT 環境整備の加速化を図る。あわせて,「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」の普及や改定など,学校における情報セキュリティの確保に取り組み,教師及び児童生徒が安心して学校で ICT を活用できる環境の整備を促進する。また,地方公共団体へ ICT 活用の専門家を派遣し,各地域における ICT 環境整備推進に向けた課題解決を支援する。
・ 大学においては,情報セキュリティポリシー等に基づく対策の強化により,情報セキュリティを確保しつつ,質の高い教育研究活動の基盤となるICT 環境整備の促進に取り組む。
・ 私立学校については,国公立学校の状況を勘案しつつ,学校の ICT 環境整備の促進に取り組む。

 

○ 大学における ICT を利活用した教育の推進
・ 高等教育段階において,教育の質向上や大学の知の国内外への発信の観点から,多様なメディアを活用した遠隔教育や MOOC88による講義の発信等,ICT を利活用した教育を推進する。

 

○ ICT の活用による生涯を通じた学習の推進
 ・ 放送大学におけるオンライン授業の充実など,ICT の活用による生涯を通じた学習機会の提供の推進を図る。

 

〈基本計画の構成〉

 まず前文があって、第1部として「我が国における今後の教育の全体像」として、国・教育の現状と課題について言及し、そこから今後の基本的方向性(留意事項あり)を示す。
 次に第2部として「今後5年間に実施すべき教育上の方策」として、四つの基本的方向性に基づく,8の成果目標と30の基本施策が提示されている。

 うち、教育ICTにかかわる内容をピックアップする。

基本施策1 確かな学力を身に付けるための教育内容・方法の充実
【基本的考え方】
○ 子どもたちに基礎的・基本的な知識・技能と思考力・判断力・表現力等,主体的に学習に取り組む態度などの確かな学力を身に付けさせるため,教育内容・方法の一層の充実を図る。その際,特に,自ら課題を発見し解決する力,他者と協働するためのコミュニケーション能力,物事を多様な観点から論理的に考察する力などの育成を重視する。
○ このため,グループ学習やICTの活用等による協働型・双方向型の授業への革新,学校と家庭・地域との連携の推進を図りつつ,新学習指導要領を着実に実施する。(以下略)

基本施策25 良好で質の高い学びを実現する教育環境の整備
【基本的考え方】

(略)

○ さらに「義務教育諸学校に, おける新たな教材整備計画」に基づく計画的な教材の整備や観察・実験,実習等の教育活動を充実させるための施設・設備の整備,協働型・双方向型の授業革新や校務効率化に向けたICT環境の整備や「学校図書館図書整備5か年計画」等に基づく学校図書館の整備の充実等を図る。

25-2 教材等の教育環境の充実→ここの内容がパンフレットになっている
・ 新学習指導要領を踏まえ,平成23年度に定めた教材整備指針に基づき教材の整備を計画的に推進するとともに,観察・実験や実習等の教育活動を充実させるために必要となる施設設備の整備を支援する。
・ 教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数3.6人(※),教材整備指針に基づく電子黒板・実物投影機の整備,超高速インターネット接続率及び無線LAN整備率100%,校務用コンピュータ教員1人1台の整備を目指すとともに,地方公共団体に対し,教育クラウドの導入やICT支援員・学校CIOの配置を促す。
※ 各学校に,①コンピュータ教室40台,②各普通教室1台,特別教室6台,③設置場所を限定しない可動式コンピュータ40台を整備することを目標として算出。
・ 平成24年度からの「学校図書館図書整備5か年計画」により「学校図書館図書標準」の達成に向けた図書の整備や新聞の配備を促進するとともに,司書教諭の発令促進や学校図書館担当職員の配置促進等により,本と子どもをつなぐ人的体制の一層の充実を図る。

第1期教育振興基本計画(平成20年7月1日閣議決定)

​≪今後5年の目標≫

○地域ぐるみでの学校支援 →「学校支援地域本部」をはじめ、地域住民のボランティア活動等による 積極的な学校支援の取組を促す
○新学習指導要領の円滑な実施 →教職員定数の在り方など教育を支える条件整備について検討
○道徳教育の充実 →道徳教材の国庫補助制度等の有効な方策を検討
○子どもの体力の向上 →全国体力・運動能力等調査の実施と体力向上の取組の推進
○教員が子ども一人一人に向き合う環境づくり →教職員配置の適正化や、外部人材の積極的な活用
○幼児教育の無償化の検討 →幼児教育無償化の歳入改革にあわせた総合的検討
○卓越した教育研究拠点の形成と大学等の教育の質保証 →平成23年度までに、世界最高水準の教育研究拠点150程度を重点的 に支援。学生が身に付ける学習成果の達成に向けた取組を支援
○留学生交流の推進 →2020年の実現を目途とした「留学生30万人計画」を推進
○耐震化の推進 →大規模な地震が発生した際に倒壊又は崩壊の危険性の高い小・中学 校等施設(約1万棟)について、優先的に耐震化を支援